雷門近くのカフェバー「鈴楼(すずろう)」(台東区浅草1、TEL 03-5828-3113)で29日から、「焼き絵作家 元心(げんしん)作品展」が開かれている。
歌舞伎絵や春画、オリジナル作品など約20点を展示する同展は、2メートルを超える大きな作品の展示もある。最新作の「ひかり」は大きな革に観音(かんのん)と仙人が描かれた2枚組みの大作で、「被災地で困っている人たちのことを思いながら、少しでも傷ついた人の心を癒やせたら」と描いたというもの。作品に押した落款(らっかん)印は、元心さんの友人である警視庁の刑事が趣味で作ったもの。
焼き絵とは「焼きコテ」という電熱ペンを使い、木や革に焼き痕を付けて絵や文様を描く技法。元心さんは「すあげ」という加工していないヌメ革に1本の焼きコテのみを使い、温度や描く速度、力加減を調整して濃淡を表現している。
元心さんは2009年に肝臓がんの手術をし、激しい痛みを和らげるために入院中に風景や花の写生を始めた。現在は医者から歩くこと止められている元心さんは、浅草で活動するファッションデザイナーの兄から「何か作品を作ってみては」とアドバイスを受け、3年前に焼き絵をはじめた。「焼き絵に辿り着くまでは、いろいろなことをやってみたが、どれもしっくりこなかった。焼き絵は初めてやった時から夢中になり、人生が変わった」と元心さんは話す。
本展では作品展示のほか、コースターやしおりを作るワークショップも予定。元心さんは「自分も焼き絵を始めてまだ3年。焼き絵は誰でもできる。いろいろな人にチャレンジしてほしい」と思いを口にする。
開催時間は12時~24時(日曜・祭日は20時まで)。入場無料。ワークショップは1月9日、10日、16日、17日の18時~。500円(材料費込み)。