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浅草橋の老舗人形店で消防訓練 文化価値高い商品やひな人形も避難

一日消防署長に任命された久月の横山久吉郎社長と社員の木村瑠那さん

一日消防署長に任命された久月の横山久吉郎社長と社員の木村瑠那さん

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 JR総武線浅草橋駅近くの久月総本店ビル(台東区柳橋1)で3月3日、浅草消防署による消防演習が行われ、人形店独自の避難の様子が明らかになった。

ひな人形の「救出」シーン

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 全国で展開する「春の火災予防運動」に伴う地域貢献活動の一環として行われた同訓練は、ポンプ車やはしご車など6台の車両と、消防職員、消防団、従業員合わせて約100人が参加した。

 地震が発生し1階店内から出火、「上層階に逃げ遅れた客がいる」との想定で行われた訓練は、「久月自衛消防隊」が消火器や屋内消火栓による初期消火活動と店内にいる客を誘導し、社員約30人も屋外に無事避難を済ませた。

 訓練に先立ち、「一日消防署長」に任命された久月社長の横山久吉郎さんは和装で男びなに扮(ふん)し、女びなを装った振り袖姿の女性従業員、木村瑠那さんと共に大型消防車両屋根上の「指揮台」から演習の指揮を執った。消防隊は1階で倒れた1人を、特別救助隊とはしご隊が6階で逃げ遅れた客をそれぞれ救出。けが人は救護所で消防団によって応急手当を行った。

 同社社員による「文化価値の高い商品の避難活動」も行われ、時間やルートが限られる中、立親王2体を避難。慎重でありながら迅速さを求められる複雑な状況は、江戸時代から続く人形専門店ならではの緊迫感ある訓練となった。

 横山さんは「関東大震災で全焼して歴史物や資料を全て失った。火事は命や財産、足跡をすべてなくしてしまう。普段からの備えが大切」と大きな責任を感じたという。「訓練とはいえ助かってもらいたいという気持ちが強く出た。上階から逃げることは怖い。早く降ろすこと、いち早く通報することが求められる」と陣頭指揮を振り返る。

 浅草消防署の野村署長は「指揮系統も行き届き効果的な取り組みだった。今後も技能向上に努めてもらいたい」と講評した。

 春の火災予防運動は3月7日まで、全国で行われる。

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