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浅草のスマートボール専門店「三松館」閉店へ ファンに見送られ72年間の歴史に幕

まだ実感が湧かないという店主の江川明智さんは最期まで笑顔

まだ実感が湧かないという店主の江川明智さんは最期まで笑顔

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 つくばエクスプレス浅草駅近くのスマートボール専門店「三松館」(台東区浅草2)が1月26日、約72年間の営業に幕を下ろした。

常連客が持ってきた思い出の写真を見てうれしそうに話す実希さん

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 スマートボールは、くぎを立てたゲーム盤の上で球をはじいて遊ぶゲーム。盤上にあいた穴に入れると増え、手持ちの玉がなくなると「ゲームオーバー」というルール。

 1948(昭和23)年に開業し、土曜・日曜・祝日のみ営業してきた同店。二代目店主の江川明智さんと妻の実希さん2人が歴史をつないできた。マシンが古くなり、建物も老朽化で耐震性に問題が出たことから閉店を決めたという。

 60を超えるゲーム台が並ぶ店内は、昭和時代の面影や名残を感じさせる風景で、最近は外国人観光客にも人気だったという。「年代物」のゲーム台はこれまで60年以上使い、明智さん自らが調整を手掛けてきた。

 この日は最後のゲームを楽しみながらも、涙ぐむ客の姿があった。子どもを連れて通ったという池田千津子さんは「店のご主人や奥さんがよく話し掛けてくれた。会えなくなるのは寂しい」と肩を落とす。恵比寿から来たという川隅潤吉さんは「二人の人柄に感謝している。本当は後を継ぎたいほど」と閉店を惜しむ。

 実希さんは「来てくれたみんなが元気になって帰ってくれるのがうれしかった。つえを突いて来た人が忘れて帰ってしまい、まだ店にある」と笑う。明智さんも「泣いていた子どもが笑って帰るのがよかった」と振り返る。「まだ実感が湧かないが、趣味の釣りや日曜大工、植木など楽しみながらゆっくりしたい」とも。

 明智さんによると建物は取り壊す予定といい、遊戯台は区役所や福祉施設などに寄贈するという。

 閉店時間には最期を見届けようとファンが店の前に残り、感謝やねぎらいの声と共に、浅草名物がまた一つ消えた。

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