かっぱ橋道具街に並ぶ「かっぱ橋まえ田」(台東区松が谷1)店主の前田潤さんが2月2日から、自身初となる書道の個展「不壊(ふえ)」を吾妻橋近くの「ギャラリービアント」で開催する。
展示作品は18点。その中の一つで、掛け軸に書いた「不壊(ふえ)」を個展名した。「初めての個展で、何かキーワードがあるといいなと思い、出す予定の作品の中から、この言葉が最もふさわしいと思った。字面はすごく硬い言葉だが、読み方は『ふえ』と軽い感じがする」と前田さん。
台東区出身の前田さんがアートを意識したのは中学生の頃。アメリカのドラマで見た「前衛芸術家」に、「こんな職業があるのか」と驚いた。東駒形に工房を持っていた篠原勝之さんの所によく遊びに行っていたという。その後、美術の道を選び、多摩美術大学のガラス造形へと進む。4年間、作品制作を行った後、卒業後の進路は実家である「かっぱ橋まえ田」を選んだ。「学校のみんなが急に就職活動とか始めて、『あー、そうなんだ』と思った。でも、僕は自然な流れで家業へと進んだ。おやじが上司だったらいいなと思った」と当時を振り返る。
「かっぱ橋まえ田」で働き始めてからは不景気の影響もあり大変だったため、美術に関わることがなくなったという。「落ち着いたら何か好きなことをやろうと思っていた。そしたら結構な時間がかかってしまった」と前田さんは話す。
書道を始めたのは2018(平成30)年。「包丁に刻まれた文字の美しさに感銘を受けた。こんなにきれいな字が金属に入るんだと驚いた。店の方も少し余裕が出てきた。いい巡り合わせで先生を見付けられた。中学の後輩だった」という。その後、書道の面白さに魅せられた前田さんは作品制作を続けた。
初の個展開催について、「まだ会ったことのない人に来てもらえたらうれしい。いろいろなタッチの作品を用意しているので、楽しんでもらえたら。(ギャラリーに)ずっといるので、鑑賞後にお話できれば」と呼びかける。
営業時間は11時~19時(2月8日は17時まで)。作品は販売も行い、価格は3万3,000円~33万円。来場者には「不壊」をパッケージデザインしたドリップコーヒーを進呈。2月8日まで。