鳥越のおかず横丁に手織り・草木染の工房兼ショップ「つばめ工房」(台東区鳥越1、TEL 03-6312-4081)がオープンして6年がたった。
ミカン・コチニール・コブナ草などで色を出したオーダーメードのカシミヤストール
美術大学を卒業後、織物やプリント物のテキスタイルデザイナーとして働いていた高橋京子さんが、「実際に手を動かして物を作りたい」との思いから始めた同店。この場所を選んだきっかけは、もともと高橋さんの父親が婦人服の製造卸をしており、その仕事場があったためだという。1階の工房兼ショップには、人から譲り受けたという織り機を設置した。絹、麻、カシミヤ、木綿の糸を草木染めし、織機を使ってストールやバッグ生地を製作する。
糸染め、精練、整経、糸巻きなど全ての工程を手作業で行うため、月間の生産数は多くて8枚ほど。高橋さんは「手織りならではの味わいや良さがあると思い続けている。丁寧なものづくりをして、長く大切に使いたいと思ってもらえるものを作りたい」話す。
冬はカシミヤ、夏は木綿や麻と、季節によってメイン素材を変える。ミカン・コチニール・コブナ草・藍などの天然染料で染めた柔らかい色合いと、織物の特徴である縦と横の線を使ったオリジナルのデザインが特徴。
オリジナルの一点物製品のほかオーダーメードの販売も行う。サンプル商品や写真を見せながら客の好みの色や柄を聞き、高橋さんがデザインに起こす。もともとはオリジナル製品のみだったが、「次の商品を待っていただく代わりに要望を聞くようになった」という。一から作るので要望に応じやすく、「時間はかかるが、製作過程も一緒に楽しんでもらえたら」と高橋さん。
主な商品はカシミヤストール大(5万6,000円~6万4,000円)、カシミヤストール小(2万2,000円~)、ハンドバッグ(2万8,000円)、木綿・麻ストール(4万5,000円~)など。
高橋さんは「7年目に入り、自分の手仕事に合った素材やデザインの方向性が定まってきた。製作時間とのバランスを取りながら、シーズンごとにもっと違ったタイプの商品の企画にも挑戦していきたい」と意気込む。