葛飾北斎の半生を描いたノンバーバル舞台作品「The Life of HOKUSAI」が4月18日、浅草公会堂(台東区浅草1)で上演される。
同作はタイトルが示す通り、パフォーミングアートや和太鼓や薩摩琵琶のライブパフォーマンスとプロジェクションマッピングなどのデジタル技術を合わせて葛飾北斎の人生を描く舞台作品。演者はせりふを話さないノンバーバルで進行する。
2020年12月に作品が完成したが、当時はコロナ禍だったため映像作品として収録。イギリスの芸術祭に出品し、評価を得た。その後、内閣府主管の「クールジャパン・マッチングアワード2022」受賞を経て、イタリア、スペイン、ルーマニア、エストニア、トルコ、ポルトガル、ブルガリアで上演を重ねてきた。今回の浅草公会堂での公演は、観客が入る形では初めての凱旋(がいせん)披露となる。
同作品の発起人でエグゼクティブプロデューサーの杉本伸さんは「自分は独立したら、日本の素晴らしいものを海外にもっと紹介したいと考えていた。エンタメが自分のフィールドだったので、そのエンタメを海外に出して評価を取り、後ろの人たちが付いてこられるようなモデルを作りたいという思いがあった」と話す。
中国をはじめとした海外でエンタメ事業に関わっていた杉本さんは葛飾北斎に目を付けた。「アニメみたいなものではなく、古典的な文化や芸術といった点で海外に出ていきたいと思っていた。葛飾北斎の展覧会は、イギリスやフランス、オランダ、アメリカなど、かなり海外に出ていた。これをもっとエンタメに振って舞台芸術まで高めていきたいと考えるようになった」と杉本さん。
2016(平成28)年ごろから構想を温め、さまざまな人と出会いながらビジネスモデルと作品の内容という両輪でブラッシュアップ。最終的に、パフォーミングアーティストであるサカクラカツミさんと出会い、意気投合。演出と主演を依頼した。2018(平成30)年に会社を離れて独立し、葛飾北斎生誕260年でもある2020年秋に向けた制作を進めた。
ところが、コロナ禍が到来し、日本での初公演は諦めざるを得ない事態に陥る。「まさかだった。『ああ、これはあかん』ということで、一回止めた。ただ、やめたわけではなく、いったんは待とうということにかじを切った」と杉本さんは振り返る。
悶々(もんもん)とする中、偶然見た映画にヒントを得て、「映像作品を先に制作することで前に進めるんじゃないか」と考えたという。その後、イギリスでの映像作品の出品、クールジャパンの賞受賞、ヨーロッパ公演と続いていく。杉本さんは「実際に向こう(ヨーロッパ)でやってみて、厳しい部分も含め海外で公演することの現実、皆さんの評価・考え方がどうあるのかを知ることができたのは良かった」と振り返る。
2025年ごろ、「日本でやってほしい」という声が高まってきたことを受け、国内での公演を検討し、葛飾北斎の墓もあり、ゆかりがある台東区の浅草公会堂で開催することを決めた。春先の土曜日で開催を考えて4月18日を公演日に選んだが、偶然にも同日が北斎の命日であることを後で知り、「後押しされている気持ちになった」という。
「舞台作品は、日時・座席とキャパシティーが限られているための難しさがある。やはり、『もう一回見たい』と長く思っていただき、ロングランとして楽しんでもらえるようにしていくのかがゴール。自分としてはもっと極めていきたい。最終的には専用劇場を作りたい」と杉本さんは話す。
出演は、サカクラカツミさん(パフォーミングアーティスト)、小林太郎さん(和太鼓奏者)、鎌田薫水さん(薩摩琵琶奏者)、加藤花鈴さん(コンテンポラリーダンサー)、沙央くらまさん(俳優)の5人。
公演は、15時30分~、18時~の2回。鑑賞料金は、S席=1万円、A席=8,000円、U23=5,000円。チケットは、チケットぴあ、ローソンチケット、e+(イープラス)などで販売。