浅草で12月25日、「ムスリムおもてなし集会」が開催され、ムスリムが浅草散策をするツアーが行われたほか、主催や協賛企業の集会と交流会が行われた。主催は「メイドインジャパン・ハラール支援協議会」(港区)。
ツアーには25人のムスリムが集まり、仲見世や浅草寺、浅草内の「カオサン東京」各店、ハラール対応の飲食店を巡った。「仲見世などでおいしそうなものを見つけるとテンションが上がっていたが、ハラールに対応していないためしょんぼりしていた」と話すのは、同イベントに特別協賛する日本SI研究所(墨田区)の芝山則敬さん。「米粉を使ったシフォンケーキは、みんなとてもうれしそうに食べていた」と協賛のハラールメディアジャパン社長の守護彰浩さん。
集会では、同協議会理事の高橋敏也さんが「JAPAN HALAL EXPO 2014報告会」「メイドインジャパンハラール支援協議会の活動について」「ムスリムインパクトセミナー」の講演を行い、LCCの普及や円安により、東南アジアをメーンにイスラム圏からの観光客などが増え続けており、2020年までにはムスリムの観光客が確実に2000万人を突破すると見込んで、「本当のおもてなしとは何か」を問う内容となった。
交流会は「SEKAI CAFE」(浅草1)で行われ、参加企業を交えさまざまな意見交換が行われたほか、ハラールフードが振る舞われ、ハラール肉などに参加者は舌鼓を打っていた。
同イベントは「浅草にこれだけムスリムの観光客がいるのに、礼拝スペースがない」ことをきっかけに企画された。「礼拝スペースはない、日本に来てもおいしい和食が食べられない。こんなことではおもてなしとは言えない」と芝山さん。礼拝スペースは2帖分の静かなスペースがあれば十分で、現在ホテルを中心に礼拝スペースの設置を説得しているが「過激派に狙われるのでは」という偏見が多いという。礼拝の現状について、守護さんは「だいたい駐車場で礼拝をしている。この寒い中そんなことをさせて本当に申し訳なく思う」と話す。「ムスリムが多く集まる街では、お金を出し合ってアパートの1室を借り、共同の礼拝スペースにしている人たちもいる」とも。
ハラール対応については、和食はもともと野菜や魚介類を多く使っており、ハラールに対応しやすいという。発酵食品が禁じられているため、ハラール対応のしょうゆを置くだけでもムスリムが食べられる店が多いという。「彼らは、本当はラーメンやお好み焼き、天ぷらなどを食べたがっている。調味料や油を変えるだけで対応できるということを、もっと多くの人に知ってほしい」と芝山さん。
守護さんは「ムスリムの笑顔を増やすことしか考えていない」と話す。今後も各地でイベントを開催していく予定。