浅草寺(台東区浅草2)で3月18日、浅草寺奉納舞の一つである「金龍(きんりゅう)の舞」が開催された。
「金龍の舞」とは、観音様を象徴する「蓮花珠(れんげしゅ)」を慕うように、長さ18メートル、重さ88キログラム、8888枚の金箔(きんぱく)のうろこを持つ「金龍」を8人で操作し、ご本尊の観音様に奉納するための舞を披露するもの。同寺に伝わる承応縁起(1654年、承応3年)に、「寺辺に一夜にして1000本の松が生じ、天から100尺の金龍が舞い降りたので山号を金龍山とした」とあり、この縁起に基づき、1958(昭和33)年に現本堂の再建を記念して浅草観音奉賛会が母体となり創始奉納された。
同日は、628年に同寺のご本尊「観世音菩薩(ぼさつ)」が隅田川より出現した浅草寺開創を祝う聖日で、金龍の舞のほかに「太鼓」や「鉦(しょう)」、浅草花柳界の「きれいどころ」による三味線や笛の演奏や、浅草寺幼稚園の園児による「松慈童(まつじどう)」が加わった。行列が横切る仲見世通りに店を構える人は、毎年行われる同行事を「華やかでいい」と見守る。
金龍に触れる際は合掌するのが作法。金龍を初めて見たというアメリカ人観光客は「日本と欧米と中国でそれぞれ違う龍の形がおもしろい」と驚きを口にした。
第27世貫首(かんしゅ)の故清水谷孝尚師に代わり新貫首に就いた田中昭徳さんのお練りも行われ、多くの参拝客でにぎわった。