浅草寺近くに3月30日、観光案内所「浅草寺子屋i(アイ)」(台東区花川戸2)がオープンした。運営は浅草の老舗70店舗で作る「浅草 槐(えんじゅ)の会」とイベント企画会社「ビー・エフ・シー」。
「浅草をもっと知って、もっと楽しむためのコミュニティースペース」をコンセプトにした同施設。浅草の観光や店舗案内、ツアー受け付け、着物レンタルなどを紹介する「浅草ナビ」、抹茶や日本酒を提供する「茶カフェ」「酒バー」、映像やデジタルコンテンツを使用した「浅草縁起コンテンツ紹介」、着付けやお座敷遊びなどを地元の専門家が教える「浅草寺子屋」などを設け、さまざまな体験を通して浅草の歴史と文化を学べる。施設内には、国内初という江戸時代(1765年ごろ)に書かれた江戸東京博物館(墨田区横網1)所蔵の巻物「隅田川風物図巻(すみだがわふうぶつずかん)」の複製も展示されている。施設名の「i」は「インフォメーション」の頭文字で、世界中で通用するアイコンから取った。
インバウンド観光客の満足度向上にも取り組む同施設は、浅草の地域活性事業として無料Wi-Fiの整備と、スマートフォンの位置情報に連動して情報を発信する「ビーコン」システムを活用する。同システムは専用アプリをインストールしておくと、「浅草 槐の会」加盟店の近くを通る際にスマートフォンが振動し、店が近くにあることを知らせるというもの。ほかにも店の基本情報や30秒の紹介ビデオを見ることができる。
ほかにも、スマートフォンの拡張現実システム(AR)を使った「浅草AR」を提供。目的別にメニューを用意しており、「浮世絵今昔比較(浮世絵Spot)チャンネル」は浮世絵が描かれた場所に行き、スマートフォンをかざすと浮世絵が浮かび上がる仕組みで、現実と江戸の風景を見比べることができる。そのほか、「伝法院通りARチャンネル」「浅草おすすめShopチャンネル(買い物)」「浅草見どころSpotチャンネル」があり、目的地までの距離や方向を画面上で案内することもできる。同システムはフリーペーパー「Asakusa Zanmai 99 Times」の紙面にも連動しており、アプリを起動して紙面上の店舗写真にスマートフォンをかざすと、店の紹介映像が流れる。フリーペーパーは同施設内や同会加盟店、近隣のホテル、浅草文化観光センターなどで配布する。
店長の藤代寿恵子さんは「2020年の東京オリンピックの後も客が増えるきっかけになれば」と未来を見据える。着付け講師の前島ミシェル由衣さんは「着物のルールに縛られず、普段着として自由に気楽に着物を楽しんでもらいたい」と話す。
営業時間は10時~21時。火曜定休。