都営大江戸線新御徒町駅近くの「田中箔押(はくおし)所」(台東区小島2、TEL 03-3851-1890)代表の田中一夫さんが、5月22日に始まった複合ものづくりイベント「モノマチ」史上初めて、職人として実行委員長を務めている。
箔押とは、ホットスタンピングと呼ばれる技術で熱を利用した印刷で、紙以外に皮革製品やプラスチックにも印刷できるのが特徴。クレジットカードのホログラムなどにも用いられている。
創業約90年の老舗工場(こうば)の3代目として切り盛りする田中さんは、台東区の南部、御徒町から蔵前、浅草橋にかけて「徒蔵(カチクラ)」と呼ばれるエリアで行われている同イベントの委員長を任された。
「良いものの作り方は体が覚える」という田中さんは、「バブル期に山ほど仕事をやれたのが力になっている」と語る。簡単で量のある仕事は国外に出されることが増え、そうした仕事が少なくなったことが「若い職人を育てる上での課題」としながらも、「どんな仕事もクオリティーにこだわり、相手が納得する仕事をしながら後継者を育てていきたい」と話す。
「新しいものを作る時が職人として一番の喜び。使う相手のことを考えられる人と仕事をするのが楽しい」と田中さん。22日から始まった「モノマチ」では、「手を抜かずに人を集め、関わる人に楽しみながら充実感を味わってほしい」と意気込む。
営業時間は8時30分~18時(土曜は12時まで)。第3土曜・日曜・祝日定休。モノマチの開催期間は今月24日まで。