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台東の老舗硝子問屋がメード・イン・トーキョーを世界へ 江戸の伝統を発信

3代目の木本誠一さん

3代目の木本誠一さん

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 都営大江戸線新御徒町駅近くの硝子(がらす)問屋「木本硝子」(台東区小島2、TEL 03-3851-9668)が創業から84年を迎えた。

漆黒の江戸切子グラスKUROCO

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 同社は、初代となる木本艶(つや)が蔵前のガラスケース店に勤務していたことがきっかけで、1931(昭和6)年に創業。当時は一般向けの硝子食器専門問屋として、大手百貨店などに卸していた。

 職人が作った精緻(せいち)な模様の入った江戸切子(きりこ)のグラスを、「すごいけど欲しくない、と言われたことでデザインの重要性に気付いた」という同店代表で3代目の誠一さん。「良いものなのに江戸切子が売れない」ことを真摯(しんし)に受け止め、10年ほど前からは問屋業だけでなく、メーカーと顧客をつなぐディレクションを行うようになった。誠一さんは「民芸品のように飾られるものではなく、生活の中で使われるものを作るには、今のライフスタイルを考慮する必要がある」と話す。それにより「新マーケットの開拓ができる」とも。

 代表的な製品は、世界で初めてという漆黒の江戸切子「KUROCO」。黒と透明硝子の2層構造で、フローリングの時代に合うように考えた。田島硝子(江戸川区)と共同開発した同製品は、赤と青が主流だった江戸切子に新風を巻き起こし、「第5回東京の伝統的工芸品チャレンジ大賞」を受けた。

 誠一さんは「新しい硝子の世界観をプロデュースできるのは木本硝子しかない」と力を込める。「誰が、どこで、どんな思いで作っているのか」を伝えることがストーリーになり、そこに現代に合ったデザインをのせることで、「今まで江戸切子を知らなかった人たちに届けることができる」という。最近ではパリやミラノ、フランクフルトなど国外の展示会にも積極的に参加し、高い評価を受けた。「東京で作るものが東京で買えることが町の活性化にもつながる。2020年以降、オリンピックが終わってからが勝負。メード・イン・トーキョーを世界に発信していきたい」と意気込む。

 主な製品は、「KUROCO」のタンブラー「年輪」(2万円)、オールド「玉市松」(3万5,000円)、漆黒グラス「InnerBlack」のタンブラー (2,500円)、江戸切子「桜文様」ぐい飲み(ペア1万円)、「重ね矢来(やらい)」一口ビール(ペア1万2,000円)など。

 営業時間は9時~18時。土曜・日曜・祝日定休。

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