つくばエクスプレス浅草駅近くの台東区江戸下町伝統工芸館(台東区浅草2、TEL 03-3842-1990)で7月7日、2014年度の台東区優秀技能者による作品展が始まった。
「台東区優秀技能者」の表彰は1976(昭和51)年から始まった制度。区内の産業を支える優れた職人を広く紹介するもので、2014年度は18人が選ばれた。「寿(ことぶき)」エリアからは「石黒商店」の江戸つまみ簪(かんざし)職人、石黒一枝さんが受賞。「浅草」エリアでは「宮本卯之助(うのすけ)商店」から宮本章(あきら)さん、坂本敏夫さん、山下佳一さん、古木健一朗さん、浅野浩章(ひろあき)さん、藤戸誠さんの6人が受賞した。
6人での同時受賞となった宮本卯之助商店は、太鼓や神輿(みこし)の製造販売や修理を手掛ける老舗。1861年に土浦で初代清助が太鼓店を創業し、1893(明治26)年に4代目卯之助が浅草聖天町(現在の浅草6・7丁目)に店を構えた。1964(昭和39)年に行われた東京オリンピックでは、開会式で使う一対の火焔(かえん)太鼓を謹製。現在では宮内庁御用達(ごようたし)や国立能楽堂御用達も務める。
同展に出展した神輿は、屋根唐破風(からはふ)型の子ども神輿。長押(なげし)と呼ばれる横木に、十二支の彫刻が施されているのが見どころ。太鼓はケヤキの尺六(しゃくろく)。打面の直径が48.5センチで、1本の木で作られたため継ぎ目がない。
地域によって形が違う神輿。「浅草では三社型と呼ばれるタイプが多く、蕨手(わらびて)が神輿の屋根の下から出ており、日光東照宮の建築に見られるような極彩色の彫刻が特徴」と山下さんは話す。同店の神輿は「全体的なバランスや屋根の照りで見分けがつく」という。浅野さんは「神輿の彫刻の図案は、風神雷神をかたどったものや、浅草観音を海から引き上げた様子を表したものなど、土地による作りの差がある」と話す。同社の太鼓は1本のケヤキをくりぬいて作るのが特徴で、浅野さんは「今後も日本の良さとして残していきたい」とこれからを見据える。
開館時間は10時~20時。入館無料。実演は11日(金銀器)・12日(木彫刻看板)の12時~16時。展示は今月20日まで。