浅草橋の「つまみ堂」(台東区浅草橋3、TEL 03-3864-8716)が3周年を迎え、リニューアルオープンした。
正方形に小さく切った薄絹をつまんで折り畳み、組み合わせることにより花や鳥の文様を作る「つまみ」は、江戸時代から続く技法の一つで、舞妓(まいこ)などの「かんざし」で使われている東京都指定の伝統工芸。
「つまみ」をメジャーにしようと、素材販売とワークショップスペースだった1階は全て販売スペースにリニューアル。要望が多かった単品のつまみパーツ販売スペースをメーンとし、花畑のようにカラフルな花の形の「つまみ」を並べる。それにより「たまたま立ち寄った人にも興味をもってもらえるようになった」という。
初代が創業したのが1939(昭和14)年。正月や七五三用の髪飾りの卸売業として多くの職人を抱え繁盛していたが、近年は着物を着る人や機会が減り、つまみ職人も減少。危機感を覚えた2代目店主の高橋正侑さんが3年前、世界で唯一となる「つまみ細工の本格体験型店舗」をオープンさせた。
「昔はかんざしのための工芸だったが、今ではアクセサリー、インテリア小物、タイピンなど可能性はどんどん広がっている。伝統工芸を守るには、時代の変化に対応していくことも大切」と語る高橋さん。アクセサリーブランドとコラボを展開するなど、これまでの「つまみ」の常識や発想を覆す取り組みを続ける。
そのほか、店舗2階ではワークショップを定期的に開き、基礎講座から応用講座・特別講座を用意し「つまみ細工作家やファンを応援する店舗」となっている。「ここでつまみに興味を持って体験していった人の中から将来の職人が生まれることが、一番の願い」と期待を寄せる。
多数のメディアで紹介され全国にファンが広まり、ネットショップでは遠方からの注文が増えているという。2012年のロンドンオリンピックでは、「ジャパンハウス」のIOC(国際オリンピック委員会)VIP受付にもつまみ細工を提供した実績から、海外からも注目が集まっている。昨年の「アフリカ開発会議」では、安倍昭恵内閣総理大臣夫人主催の配偶者プログラムとして、アフリカ各国首脳夫人などを迎えた体験教室を開催。「国内外問わず幅広く『つまみ』をアピールできる絶好の機会となった」という。
営業時間は11時~18時。月曜・日曜・祝日定休。