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馬肉料理店「桜なべ中江」が110周年-有形文化財にも指定

4代目店主の中江白志さん

4代目店主の中江白志さん

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 台東区吉原大門交差点近くにある馬肉料理店「桜なべ中江」(台東区日本堤1、TEL 03-3872-5398)が3月、110周年を迎えた。

桜なべ中江の「春のうららかコース」

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 店の前が土手だったことから「土手の中江」の愛称で親しまれる同店は、新潟より上京した初代の桾太郎(くんたろう)が1905(明治38)年に創業した。明治から続く東京の伝統料理である「桜鍋」は、精力をつける料理として、当時は吉原など色町の近くに多く、周辺に同業の店が30軒ほどあったが、空襲や震災によって次々と廃業し、唯一残った馬肉専門店となった。

 1911(明治44)の吉原大火、1923(大正12)年の関東大震災で店が焼失。翌年に再建し、東京大空襲では奇跡的に焼失を免れ、終戦後に2代目の祖太郎が「桜鍋」の営業を再開した。2010年には、文化庁の国指定登録「有形文化財」に指定されている。

 ここまで続けられた理由を「運が良かった」と語るのは、4代目店主の中江白志(しろし)さん。もともと継ぎたいという思いはなかったという白志さんは、2年間のサラリーマン生活を経てから店に戻った。老舗として長く続けることに重圧も感じているが、地域の人たちの声が支えになっているという。「祖父母と行った店に自分の孫を連れていける。それが長く続いているからこその老舗の醍醐味(だいごみ)」とも。常連客には有名人も多く、地元出身の芸人、内海桂子師匠は子どものころに初めて訪れてから80年来のなじみという。

 「長男が昨年の小学校卒業式で『将来馬肉屋になる』と宣言した。うれしいやら恥ずかしいやら」と照れながら話す白志さん。「大きくなるまで店を残すのがプレッシャーだ」と笑う。近年では馬油配合基礎化粧品「フレーメルシリーズ」の開発も行っている。

  主なメニューは「桜鍋ロース」(1,700円)、「桜鍋ヒレ」(2,600円)、「桜鍋バラ」(2,600円)、「桜鍋霜降り」(3,800円)、「桜鍋巻ロース」(4,800円)など。ドリンクは、「冷酒各種(片口)」(以上780円)、「酎ハイ各種・梅酒」(540円)、「桜酒」(540円)、「生ビール(グラス)」(680円)など。 

 営業時間は17時~21時30分(平日)、11時30分~20時30分(土曜・日曜・祝日)。月曜定休(祝日は営業)。

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