東京メトロ銀座線田原町駅近くのベーカリー「パンのペリカン」(台東区寿4-7-4、TEL 03-3841-4686)が創業73年目を迎えた。
1942年(昭和17年)創業の同店。現在の4代目店主・渡辺陸さんの曽祖父・渡辺武雄さんが、当時銀座にあったベーカリー「精養軒」で修業後、「繁華街だった浅草に近く、洋風のパンが受けるのではないか」と田原町に「渡辺パン」の名前で開業した。
陸さんの祖父で2代目店主の多夫さんが店を引き継ぎ、子どもの頃の自分のあだ名だった「ペリカン」に店名を変え、現在の店の基盤となる「食パン」「ロールパン」「バンズ」などのシンプルなパンに絞ったスタイルにしたという。陸さんは、大学卒業後すぐに叔父で3代目店主の渡辺猛さんから店を引き継ぎ、今年で5年目になる。
陸さんによると、毎日変わらない味を届けるために、品質の良い小麦粉を使い、小さな手間を惜しまず季節や温度、湿度によって材料の配合を微調整するなどしているという。「業務用のパンは少しでも味が変わるとすぐに先方から指摘があり、気が抜けないと同時にフィードバックをもらえることに感謝している」と話す。
8時の開店に間に合わせるため、早いスタッフは4時頃から仕込みを始める。電車も動いていない早朝に体調を崩しても代わりがいないため、日々の健康管理には特別に気を使うという。「家族、スタッフ、得意先など関係者全員で育てたシンプルでおいしいパンをこれからも変わらず作っていきたい」と陸さん。
「長年続けていて良かったと思うことは、子どものころ毎朝うちのパンを食べていたという親が、子どもにも食べさせたいと買いに来てくれて、世代を超えてうちのパンを食べてくれていること。自分は初孫で、祖父にかわいがられていたので、大好きだった祖父が大切に育てた店を引き継げるのがうれしい」とも。
「新しいことをやるよりも、今の品質や味を変えないための努力を続けること、スタッフがやりがいを持って働けるような職場にしていくことを目標としたい」と意欲を見せる。
主な商品は、食パン(1斤=380円、1.5斤=570円、2斤=760円、3斤=1,140円)、ロールパン(中ロール=460円、小ロール=610円)など。
営業時間は8時~17時。日曜・祝日定休。