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「暗闇ごはん」の緑泉寺が開山400年 常識とは何かと問い掛け

湯島山緑泉寺住職 青江覚峰さん

湯島山緑泉寺住職 青江覚峰さん

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 東京メトロ銀座線田原町駅近くの緑泉寺(台東区西浅草1、TEL 03-3841-0076)が今年で開山400年を迎える。

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 「湯島山緑泉寺」は、初代覺春(かくしゅん)法師が1615(元和元)年、本郷湯島(現在の文京区湯島)に興したことにより始まった。現在の住職は14代目の青江覚峰(かくほう)さん。

 青江さんは、寺に生まれたが「決まったレールでない道を探したい」と渡米してMBA(経営学修士)を取得し、米国でコンサルタントなどを手掛けていた時に911のテロが発生した。「できることは献血と寄付くらい。自分の小ささを感じた」という出来事に、数年は生きづらさを感じていたという。「自分の武器だと思っていたものをはがしていったら『日本人であること』だけが残った。日本人の文化背景にある仏教に興味を持ち、学び始めるうちにのめり込んでいった」と話す。

 仏教は「教訓ではなく問い掛け」という青江さんは、説法で説く「常識を疑う」ことを自分のこととして感じてもらおうと2008年から「暗闇ごはん」を始めた。「暗闇ごはん」とは、明かりを落とした薄暗闇の部屋でアイマスクを着用して完全に視覚を閉ざす状況を作り、一品ずつ運ばれてくる料理を食べるもの。料理にはナスのヘタなど通常は捨てる部位も使う。目を開けたとき「おいしいと感じたのがナスのヘタだった」という事実を知ることで「常識とは何か自問できる」と青江さんはいう。

 ほかにも、2003年にはインターネット寺院「彼岸寺(ひがんじ)」を立ち上げ、2012年からは世界最大級の寺社フェス「向源(こうげん)」にも参加。既存の仏教界では考えられない活動に対して批判を受けることもあるという。「何かをしても何もしなくても批判は受ける。物事の良しあしは歴史が判断すること」という青江さんは、「寺は被災の真っただ中であっても絶対に逃げない。寺だからできることがある」と力を込める。

 今後について青江さんは「お坊さんは社会の『遊び』。何にもとらわれずにどこにでも入っていける。誰よりも楽しく遊ぶことで、社会全体が楽しくなれば」と笑顔を見せる。

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