浅草寺(台東区浅草2)で1月18日、「温座秘法陀羅尼会(おんざひほうだらにえ)」が最後の一座を今年も満了し結願(けちがん)した。
1月12日から始まった同行事の起源は江戸時代中期ごろといわれ、毎年年頭に7昼夜を通して行い除災招福を祈願する。昼夜不断で行うことから、座が冷めることがないとして「温座」、修法者が壇を降りるごとに「陀羅尼文」を唱えることから同名称がついたとされる。
本堂内陣の東側に設けた一室を結界して祈願が行われ、最終日の18日17時ごろから秘法の幕が引き上げられた。信徒にも結縁(けちえん)の場が設けられ「最後の座」が執り行われた。錫杖師(しゃくじょうし)と神供師(じんくし)による「曠野神供(こうやじんく)」が行われる中、手に大きなたいまつを持った2体の鬼が本堂裏手から現れ、燃え盛る炎で周囲を照らし、本堂は幻想的な空気に包まれた。
たいまつの炎で災厄を浄化するため、鬼は本堂から香炉を回り宝蔵門へと境内各所を巡り、最後は影向堂裏手の銭塚地蔵堂脇にあらかじめ掘った穴にたいまつを投入して満了となった。
鬼は浅草寺の若い僧侶たちが毎年交代で役に扮(ふん)して行っているという。「歌舞伎役者のような鬼の隈取りが素人にはなかなか難しい」と話す鬼たちの苦労もうかがえる。鬼が立ち振る舞う姿からこの行事は「亡者送り」ともいわれる。
前日からの雪と雨でコンディションの良くない中、たくさんの信者や見物客が見守り、ご利益があると言われるたいまつの燃えかすを拾ったり、鬼に赤ちゃんを抱いてもらったりする場面も見られた。