東京メトロ銀座線田原町駅近くのパン店「ペリカン」(台東区寿4-7-4)のドキュメンタリー映画「74歳のペリカンはパンを売る。」が完成した。企画・製作はポルトレ(渋谷区)。
同店は1942(昭和17)年に「渡辺パン」として創業。先代から引き継いだ2代目の渡辺多夫さんが店名を「ペリカン」に変更した。食パンとロールパンのみ製造販売するシンプルなパン店として地元で知られ、そのスタイルは多夫さんの代から変わっていないという。現在は4代目店主の渡辺陸さんが切り盛りしている。
同映画企画担当者の石原弘之さんは「2種類のパンにこだわる『ペリカン』に出合い、映画を作ろうと思った。2代目がやりたかったことを、4代目が今でもつないでいく日常を形にしたかった」と振り返る。朝4時頃から始まるという仕込みは毎回ほぼ変化がなく、「儀式」にも見えたという石原さん。「その精神や考え方を伝えたい」との思いを持ったという。
2代目多夫さんの時代に高卒で入社したという職人が、現在も4代目の陸さんの下で勤務する。監督・編集を担当する内田俊太郎さんは「かっこよさを求めて余計なカットを入れたり編集したりしていない。先代の思いをつなぐ記録映画として、人の生き方や側面を感じてほしい」と話す。
製作資金の一部はクラウドファンディングを活用している。石原さんは「浅草のローカル映画が世界中のどこまで公開できるかチャレンジしたい。パンを主食とするフランスやイギリスのほか、ドイツ、アメリカ、アジア圏でも話題になれば」と意欲を見せる。
作品時間は80分。10月から全国順次公開予定。