株式会社宮本卯之助商店(台東区浅草6)は、これまで課題とされてきた規格に合わないため廃棄してきた、太鼓の胴を活用する「The Curve」プロジェクトを2023年1月から開始した。
株式会社宮本卯之助商店は160年に渡り、太鼓や祭り・芸能で使われる楽器や道具を作り続けてきた。技術の進歩と共に廃棄ロスを防ぐ手立てを取ってきたが、それでもある一定程度のロスが発生するため、解決策を模索してきた。
太鼓は最低でも80年以上かけて成長したケヤキなどの木の幹を削り出して制作が行われる。その過程で、割れや修復不能なフシ、虫食いなどによりどうしても太鼓として仕上げることができないものが発生してしまう。太鼓にすることはできなかったものの、職人が仕上げたなめらかで撥水性に優れた曲線美のある造形を別のプロダクトに活かせないかと考えた。
「The Curve」プロジェクトの第一弾として、東京都とパリ市との連携事業の一環で、パリ市「Bureau du Design, de la Mode et des M?tiers d'Art(BDMMA)」所属のフランスのプロダクトデザイナー、ピエール・シャリエさんとの共同制作を行った。制作されたRe-Taiko Stoolは2023年1月に開催された、フランス国際見本市「MAISON & OBJET」でも紹介した。
代表宮本芳彦氏は 「宮本卯之助商店が作るものとして、ベースには我々が何代も引き継いできた木工・彫金・漆塗りなどの技術がありながら、新しい形でそれを多くの方々と活かしたプロダクトを作っていきたいと考えています。これから『The Curve』は素材として、作品として多くのクリエイターや関心を持ってる方とまだ見ぬ姿を生み出していきたいと思っています」と語る。
新しい太鼓の活用方法は鳴り始めたばかりだ。