即興パフォーマンス集団ロクディムとは?
即興パフォーマンス集団ロクディム(2015年東洋館での公演)
―まずは6-dim+(ロクディム)の名前の由来からお願いします。
カタヨセ「ロクディムのdim(ディム)はディメンションの略なんですが、経験や魅力、発想とか、人にはそれぞれ違う面がたくさんあって、それを次元として捉えて、6人の次元が融合した時に、どんな物語が生まれるのか、そういうワクワクの気持ちを込めて、『6つのディメンション』でロクディムになりました。最後にプラスが付いているのは、パフォーマンスとして観客の方からアイデアをもらったり、僕たち以外の要素が面白さのきっかけになるので、それをプラスで表そうということで、6-dim+になりました」
―即興パフォーマンスに台本がないというのは本当ですか?事前に方向性の打ち合わせをされてるとか?
ワタリ「実は3割は」
一同「いやいやいや」
―ロクディムは即興じゃなかったって、特ダネになりそうです(笑)。
小田「特ダネですよ、あいつら実はって」
一同(笑)
ワタリ「何も決まってないです。事前に『今日はこれやりたくないとかある?』っていうくらいはありますけど、あとは何も決めずに出てきたところでなんかパッと思いついたこととか…」
カタヨセ「中身のことじゃなくて、外枠で2人から始めようかとか、メリハリがあったほうがいいから1人から入ろうとか、そういうことの共有はあるんですけど、中身を決めるっていうことは本当にないですね」
―今回の東京での単独公演「、(てん)」ですが、タイトルの「てん」はどういう理由で決まりましたか?
ワタリ「第10回の区切りで」
カタヨセ「名前を考えようって。それで、どうなったんだっけ?」
りょーちん「で、『てん』だから10回目と英語のTenとかけてる。丸じゃなく、句点にすることで、継続というか、まだ途中というか。これからさらにという意味も込めて決めました」
―今回の『てん』でのコンセプトなどはありますか?
ワタリ「そうですね、SNSとかでも点と点をつなぐ、というのをやっているんですが、いろいろな人とつながっていくというか。僕らはいろんな人との出会いがすごく大事な要素で、見てもらわないと伝わらないので。人との出会いと今まで僕たちがやってきたこと、これからやっていくこと、そういう点と点がつながる。今までのスタイルに慣れずに、さらに新しいものにつなげていくような内容にしたいですね」
カタヨセ「演劇とお笑いっていうジャンルがあるとして、僕たちがやっていることって、どちらか一概に言えない部分があると思うんです。それを東洋館という、ある種『芸』『お笑いの歴史』がある場所でやるというのは、とてもチャレンジなんですけど、浅草はチャレンジを受け止めてくれる広い懐を個人的に感じていて…。いかにたくさんの人に面白いと思ってもらえるか勝負だと思ってるんです。
即興の芝居という文化が日本に入ってきたのが多分二十数年くらい前で…。僕らを教えていた先生が第一世代で、自分たちが第二世代という感じです。日本において即興のお芝居、インプロっていうのが少しずつ浸透していますが、いわゆる演劇の稽古のように見られることもあります。そこが少しずつ広がって、やる人も増えて、面白いねって。ロクディムはトップランナーだよね、と言われることも増えて、そう言われれば言われるほど、自分たちも常にチャレンジし続けなければならないし、多くの人に知ってほしいという思いも強くなる。さらに次のステップに上げるタイミングかな、と感じていて、その意味での『、(てん)』でもあるし、そういう気持ちで今回は臨んでいると思っています」
北野武や渥美清も活躍!浅草東洋館の魅力
日光から東洋館までパフォーマンスでやってきた渡猛さん
―今回のイベントの会場の東洋館は、北野武さんがエレベーターボーイをしていたことでも有名です。この会場の魅力はどんなところですか?
ワタリ「東洋館は北野武さんや渥美清さんなど一流の方々が、ワーッと熱をもってやっていた空気を感じられたということ。あと、あの会場自体がとてもやりやすいですね。200席いっぱい入っても声とか響きやすく近くに感じられる。あの小屋自体が僕たちと相性が合って、いい気持ちになれる会場だというのがあります」
りょーちん「会場の外にいた人が、お客さんの笑い声がすごかったって言ってましたね。『ドッ』っていう。僕らも会場で体感するお客さんの笑い声の音量というのが、エネルギーとして感じられて…。その笑いや音量について、乗せ方がすごくいい会場だなというのは印象がありました」
小田「お客さん自身も、自分たちが出したエネルギーが回って、自分たちが浴びているというか。その一体感みたいなものは、あそこの会場独特なんじゃないかなと感じました」
芸の町・浅草の人情こぼれ話
チラシを持って東洋館へ来た小田篤史さん
―浅草でもかなり活動されているかと思いますが、ズバリ、浅草の好きなところをお願いします!
ワタリ「浅草でお世話になるにつれて、あの人に会いに行ったらいいよとか、じゃあうちのランチの時にやっていいよとか。それはなんか本当に浅草ならではじゃないかなって。うちの店でやってと言われた時に、僕たちは本当にお店の空き時間に、スタッフの人たちに見せるんだなという覚悟で行ったんですよ。そしたらちょうどランチタイムで、大勢並んでいて忙しい状況で…」
一同「びっくりしました、笑」
ワタリ「本当に?って驚きながら行ったら『いよっ、待ってました!』って」
小田「超満員のランチの時間に!」
ワタリ「でも、もうやるしかないから、『お忙しいところすみません、5分だけ、即興演劇をやらせていただいてもいいでしょうかー!』とか言って。そしたら食べてる人もなんやって、見る態勢に入ってくださって。お店の人も終わったら『隣も行くよ!』って。あのような経験はなかなかないですね。あれでOKのお客さんとか、やってOKのお店とか。器の広さや人情とか、どんなもんやって思いながら、こっちが熱量を持っていくと話を聞いてくれる、あの感じがとても気持ちがいいというか。すごい刺激的だし」
小田「お店もそうだし、来ている人も、浅草だからそういうことを受け入れようっていう空気になるというか。浅草だもんね!みたいな。東洋館がある辺りは出番を終えた師匠たちが普通に歩いてる。その通りに出て『あ!師匠!』とかあいさつしているあの世界にちょっと触れさせてもらえたのが面白いというか、こういう世界にまだ普通に触れられるのが浅草というところかなって」
りょーちん「ぼくはアトラクションなイメージがありますね。浅草寺は何度も雷門から参道を通ることを繰り返していたのですが、寺があってその後ろに花やしきがあって、お笑いがあって。なかなかそんな街はないですし、街自体に活気があるので。ロクディムがその中でどんなことできるかなと思いながらも、でも浅草だからこそできることっていうのが僕らにとっても魅力で。芸の街のエンターテインメントの中に僕らが入っているのがうれしいというか」
りょーちんさんは「赤羽根吾朗」として浅草ガイドを
―今回の「、(てん)」公演の前に、ワタリさんが日光から浅草までパフォーマンスで稼いで帰ってくるという企画をしていたり、小田さんが東京駅から東洋館まで歩く企画をやったり、浅草の魅力も伝えているロクディム。インタビュー後半では、即興パフォーマンス集団として得意の「コミュニケーション術」についてお届けします!
【プロフィール】
ロクディム
「この瞬間を一緒に笑おう。」をテーマに、観客と一緒に「今、ここ」を創り、楽しむ即興芝居×即興コメディーパフォーマンスを中心に活動中。2016年9月17日に浅草・東洋館で第10回単独ライブ「、(てん)」、23日にあさくさ劇亭でライブを開催。チケットの詳細はホームページで確認できる。