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蔵前の江戸指物店「茂上工芸」が創業103年-「絶滅危惧種」の伝統工芸師

伝統工芸師・三代目、茂上豊さん

伝統工芸師・三代目、茂上豊さん

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 蔵前の江戸指物(さしもの)アトリエ工房「茂上工芸」(台東区蔵前4、TEL 03-3851-6540)が、創業から103年を迎えた。

細かい作業に使う、茂上さん作の小さな手作りカンナ

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 指物は、くぎなどを使わずに木と木を組み合わせて作る和家具。平安時代の宮廷文化から始まったとされる歴史ある伝統工芸で、江戸指物のほかに、京指物、駿河指物などがある。江戸指物は武家や商家の家具、歌舞伎役者の鏡台など実用的なものが多く、現在も歌舞伎役者から依頼があるという。

 同店三代目の茂上豊さんによると、国指定の江戸指物師として活動する伝統工芸師は現在、全国に18人しかおらず「絶滅危惧種」という。指物の技術を習得するのに10年はかかるため「指物だけでは食っていけない」と数年で止めてしまう弟子もいる。

そんな危機を乗り越えようと、茂上さんはデザイナーとのコラボ製作やワークショップなどを積極的に行っている。「これまでの指物は畳文化に根づいた家具が多い。フローリングにも合うものなど、時代のニーズにあったものにしていかなければ」と話す。

 茂上さんは、アクセサリーやバッグなど指物の概念を超えた作品も作っており、指物のネクタイとちょうネクタイは2008年、テレビ東京制作の番組「アド街ック天国」で「薬丸印の新名物」に認定された。ほかの材質の物を指物で作れないかと試行錯誤し、アイデアにしていくという。

 主な製品は、名刺入れ(1,500円~)、手鏡、携帯はし、ネクタイ(以上10,500円)、手さげバッグ(26,250円)、小引き出し(31,500円)、格子あんどん(157,500円)、文机(ふづくえ)(367,500円)、小タンス(420,000円)など。工房の見学、体験教室なども随時受け付けている。

 茂上さんは今後について、「引っ掛けるだけで簡単に壁に取り付けられるあんどんにチャレンジしたい」と意気込む。

 営業時間は9時~17時。土曜・日曜定休。

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