台東区の伝統行事である「第36回台東薪能(たきぎのう)」が9月8日、7年ぶりに浅草寺(台東区浅草2)境内で開かれる。
薪能は春の季語にもなっている神事で、浅草寺本堂の改修工事などの理由から、2009年より「蝋燭(ろうそく)能」として浅草公会堂で行っていた。区民から期待の声もあり、今年は7年ぶりに浅草寺境内で開く。演能の前に、野外の舞台を照らすかがり火に火を入れる「火入れ式」の際、木やりを歌いながら火を運ぶのが同行事の特色。昨年は約800人が来場した。
主な演目は、10月18日に行われる「菊供養会」という、菊の守りを授与する行事のきっかけとなった能「菊慈童(きくじどう)」で法話の故事を題材としたもの。狂言「鬼瓦」は訴訟のため長く在京した大名が、勝訴のお礼参りで御堂(みどう)の鬼瓦を見て泣き出すという演目。そのほか、同行事史上初の演目となる、木曽義仲の愛人、巴(ともえ)午前の亡霊が古戦場に現れ、奮戦の様子と義仲との別れを語る名作の能「巴(ともえ)」も予定するなど、今年は境内での実施を踏まえ、浅草寺に縁のあるものやロケーションを生かした演目で構成する。
「菊慈童」を舞う坂真太郎さんは台東区在住の能楽師で、「台東区アートアドバイザー」「たいとう観光大使」も務める。
17時開場、17時45分開演。料金は5,000円(全席自由)。15時30分より入場整理券を配布。雨天時は浅草公会堂で行う。