再開発中の浅草六区に12月中旬、複合施設「東京楽天地浅草ビル」(台東区浅草2)が開業する。地上13階、地下2階建てで、「アールエヌティーホテルズ」「まるごとにっぽん」「正栄プロジェクト」が入居を予定している。
商業施設「まるごとにっぽん」が入居する1階から4階は、「村おこし・町おこしのメッカ」を目指すプロジェクトとして、日本の細部の知られざるもの・こと・風土といった地域資源を、施設全体で体感する仕組みになるという。
1階は生鮮食品をはじめとする食品フロアで、専門バイヤーのセレクト商品や生産者から直接買い付けたものを販売。2階は伝統技術を用いた地方発の日用品と道具を販売する。3階は実演や体験スペース、本や映像を使い旅する期待感を創出するカフェ「M/N(エムエヌ)」、郷土料理を教える教室「おいしいつくりかた」など、「地方のポータルサイト・旅の窓口」をコンセプトにした。4階はレストランフロアで地方の味が楽しめるという。
同社社長の小笠原功さんは「実際にさまざまな地域に足を運び、人口減少などで悩んでいる生産者の声を聞いた。力になれれば」と話す。「アンテナショップにはないものを取りそろえている。約70テナントのうち大半が東京初出店」とも。現在も出店者を募集しており、負担を軽減するために内装・什器は事業者側が用意するほか、賃料は売り上げ歩合制を基本としている。「腕試しの場として活用してもらいたい」と呼び掛ける。
5階から13階は「リッチモンドホテル プレミア浅草インターナショナル」で、リッチモンドホテル初のインターナショナルブランドとなる。「世界中の客にやさしいホテル」を目指す同ホテルは、コンシェルジュを配置し、国内外を問わず宿泊客のさまざまな要望に対応する。部屋と部屋をつなぎ3世代で使えるコネクティングルームも用意。ハラール食の検討や礼拝用マットやキブラ(コンパス)の貸し出しを予定し、ムスリムにも配慮するという。社長の成田鉄政さんは「浅草の街・人を結び付けるコンシェルジュとして、おもてなしを尽くす」と意気込む。
地下1階には、札幌市のアミューズメント企業「正栄プロジェクト」が東京に初出店する。「外国人観光客に日本の文化を知ってもらいたい」と、店舗デザインをジャパニーズモダンで統一するという。
同施設は1964(昭和39)年に開館した「浅草東宝会館」と、1969(昭和44)年開場の「楽天地浅草ボウル」の老朽化に伴う再開発プロジェクト。「東京楽天地」社長の山田啓三さんは以前、東宝で地方の映画館跡地の再開発に関わった経験から「地域のさまざまなものを見てきた経験を生かして、何か世の中の役に立ちたい」と同プロジェクトを企画したという。周辺には浅草寺や浅草演芸ホール、国際通りがあり、浅草の中心地で「真の地域振興拠点」を目指す。