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台東区立育英幼稚園でパッションフルーツが鈴なり 果実100個を収穫

鈴なりのパッションフルーツ

鈴なりのパッションフルーツ

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 台東区立育英幼稚園(台東区浅草橋2)で「パッションフルーツの緑のカーテン」が7メートルほどに育ち、鈴なりの実をつけている。5月の設置から現在までに100個近いパッションフルーツの収穫があったという。

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 「緑のカーテン」は夏の暑さを和らげるためにつる性植物をネットに絡ませて育て、日よけのカーテンやシェードとして使うという近年話題の省エネルギー手法の一つ。ゴーヤや朝顔などがよく使われているが、同幼稚園ではパッションフルーツを緑のカーテンとして今年5月より育成し始めた。

 今回の試みは鈴田峠農園(長崎県、大村市)で開発した「パッションフルーツの移動式緑化」と呼ばれるシステムで育成して行われた。トケイソウ科のつる性植物パッションフルーツは病虫害に強く、無農薬で育てることができ、葉も強く大きなことから緑のカーテンには最適で、夏、秋には食用できる実を楽しむこともできる。同農園の當麻謙二社長はパッションフルーツを使った緑のカーテンを広めたいと、2013年ごろから「移動式緑化」実用に向けて開発を始めた。

 多年性であるパッションフルーツは出荷する前年の秋に苗をプランターに植え付け、ポリエステルネットに絡ませて2メートルほどに育て越冬させたものを翌春から出荷する。前年から育てることで出荷後の最初の夏からパッションフルーツの実を収穫することができ、グリーンカーテンとしてだけでなく果実も味わえるという。

 同幼稚園では日当たりの良い園庭と塀沿いの長い花壇を使って、花の育成や野菜作り、ゴーヤを使った緑のカーテン作りなどを、園児や職員、保護者、地元の人たちと共に区の協力を得て長年にわたり行ってきたという。園児たちは、自分たちで育てた野菜を食べる楽しみや収穫する喜びを覚え、4~5人のグループを作り野菜を育てることで他を気遣う気持ちや協調性も育まれているという。

 初めてパッションフルーツの実を見た子どもたちは、「いい匂いがする」「このビワ食べていい?」「リンゴがなっているよ」など、緑のカーテンになった初めて見るフルーツを理解しようと、思い思いに言葉を発していたという。同園では果実はそのまま食べたり、ジュースにして飲んだりするほか、今後は皮なども利用できないかなど、オーガニックフルーツを余すことなく使う方法も検討している。

 費用もさほどかからず、省エネ対策にも有効な「移動式緑化」を実用化した當麻さんは、「パッションフルーツのグリーンカーテンを広め、2020年の東京オリンピック成功に協力したい」と「パッションフルーツ友の会」を発足。土や肥料の選び方、育て方をアドバイスしたり、情報交換などを行い、関係省庁とも協力して同事業を進めている。「友の会メンバーを広く募集している。ベランダでも簡単に育てられるパッションフルーツを東京の皆さんにも育てていただきたい」と活用を呼び掛ける。

 同幼稚園からも、「受粉作業も楽しく、果実をみんなで食べられるのがうれしい。初めての体験だったがパッションフルーツの緑のカーテンを設置して本当によかった」と感謝の声が届いているという。

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