食べる

浅草のバー「DORAS」が9周年 -「1杯をどれだけおいしくできるか」を追求

DORASの店主中森さん

DORASの店主中森さん

  • 0

  •  

 浅草の隅田川ほとりのバー「DORAS(ドラス)」(台東区花川戸2)が、オープンから9周年を迎えた。

[広告]

 駅から少し離れた隅田公園前、夜は人通りの少ない裏道にある「知る人ぞ知る」同店。ゲール語で「扉」を意味する「ドラス」という店名は「住所にある花川戸の『戸』でもあり、客を迎える扉でもあり、ヨーロッパの文化が入ってくる扉となる店にしたいと、その名を付けた。ゲール語を選んだ理由は店を開業するルーツとなったスコットランドから」とマスターの中森保貴さん。ゲール語はスコットランドで中世まで通常使用されていた公用語。店内にはオペラが流れ、重厚な中世ヨーロッパの雰囲気の店名と相まって非日常的な世界観が作り上げられている。

 同店は、バーという小さな空間をどれだけ作り上げるか、サービスでいかに「1杯をおいしくできるか」を追求。コニャックはふたを開けて空気に触れてから香りが立ち、味わいがよくなることを「開く」と言うが、「どんなに高級なものでも、開くまでは客に提供しない。何カ月もかかり賞味期限が迫っても、開くまで待つ」と中森さんの「1杯」にかける思いは徹底している。コニャックのアテとして提供する「ハードリカーを使った手作りようかん」も、「自分の出したい味、最高の1杯にするために、ひと手間かけて江戸前な仕事がしたい」というこだわりから作られ「常連客からは『とらや』ではなくDORASだから『どらや』と呼ばれている」と中森さんは笑う。

 毎年ヨーロッパを訪れている中森さんは、秋にはオーガニック農法のコニャックを作っている「ギィ・ピナール」の農場へブドウの収穫を手伝いにフランスへ出向く。生まれた子どもの洗礼式に呼ばれるなど、家族同様の付き合いがあるという同農場からタルを分けてもらい、「DORAS10周年記念ボトル」を作るという。5月7日には著書「旅するバーテンダー -浅草発。究極の1杯に向けてヨーロッパをかける」(双風舎)が発売予定。

 10年目へ突入し中森さんは「思い描いているイメージにはまだ到達していない。10年という節目に向けてさらに努力していく。ドラスらしさの追求、ここでしか味わえない非日常、最高の1杯を提供し続けることが、生まれ育った花川戸に恩返ししていけることと考えている」と話す。

 営業時間は月曜~土曜=19時~翌3時、日曜・祝日=18時~翌2時。水曜・第3火曜定休。

エリア一覧
北海道・東北
関東
東京23区
東京・多摩
中部
近畿
中国・四国
九州
海外
セレクト
動画ニュース