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浅草商店連合会、中南米の行政官を受け入れ 「国と国は人のつながりから」

参加者とスピーカーで集合写真(写真提供=JICE)

参加者とスピーカーで集合写真(写真提供=JICE)

 日本国際協力センター(JICE)が企画する交流事業「Juntos!!(フントス)中南米対日理解促進交流プログラム」で来日した中南米のスペイン語圏の若手行政官14人が10月22日、浅草を訪れた。浅草での受け入れは浅草商店連合会が担った。

浅草商店連合会 理事の西山繁夫さん

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 同プログラムは、将来を担う人材を日本に招き、日本の政治・経済・社会・文化への理解を促す人的交流事業「対日理解促進交流プログラム」のうち、中南米を対象とした事業。今回のテーマは「ビジネス連携」で、一行は10月18日から24日まで滞在し、省庁や日本貿易振興機構(JETRO)、経団連などを訪れる日程の中で、街の視察先として浅草を組み込んだ。

 午前は、浅草文化観光センター(台東区雷門2)で台東区観光課の横倉亨さんと高木雅浩さん、同センターの平林正明所長が区の観光施策を説明した。区によると、2025年に区を訪れた外国人観光客はモバイルデータの推計で749万人。訪日外国人の6人に1人が区を訪れた計算になる。旅行博への出展、墨田区・江東区・東京スカイツリーと連携した「イースト東京協議会」でのプロモーション、2015(平成27)年に始めた英語・中国語・韓国語など6言語でのSNS発信、14言語の観光パンフレットなどの取り組みを紹介した。

 オーバーツーリズムについて、区は「浅草寺周辺の混雑や、時間帯によっては電車やバスの混雑で住民から苦情が寄せられることもあるが、バルセロナやベネチアのような過度な状況には至っていない」との認識を示した。昨年の住民アンケートでは、歩道の混雑、ごみのポイ捨て、観光客のマナー違反への不満が、それぞれ回答者の7割前後を占めたという。対策として、11項目を載せた多言語の観光マナーリーフレットの配布、忍者の手裏剣を投げてマナーのクイズに答えるイベント、今月公開した忍者アニメの啓発動画、侍姿の啓発員によるポイ捨て対策、トイレや喫煙所の場所を示す多言語デジタルマップなどを挙げた。

 災害時の対応では、首都直下地震の発生時に区内で約11万人の帰宅困難者が出ると試算され、同センターを含む19施設が一時滞在施設に指定されていることを説明。浅草地区では2010(平成22)年から毎年3月、町会や警察、消防、自衛隊、日本語学校など64団体が参加し、訪日外国人を想定した災害対応訓練を続けている。

 質疑では災害対応に関心が集まった。アルゼンチンの参加者は、事業所に従業員3日分の物資備蓄が求められている点に驚いたとして「ブエノスアイレスでは考えられないことだが、洪水などの災害が増えており、取り入れたい」と話していた。ペルーの国家インフラ庁に勤める参加者は「自分の国では災害対策は中央政府が考えることという意識があり、地域や住民が事前に備える意識がない。関係者が連携して地域を守る意識が醸成されていることがすごい」と感想を述べた。エルサルバドルの参加者からは対策の予算規模や国・都・区の負担割合、チリの参加者からは観光客の年齢層について質問が出た。

 続いて同連合会理事の西山繁夫さんが、628年に漁師の兄弟が川から観音像を引き上げたという浅草寺の由来から、関東大震災、東京大空襲、テレビの普及による興行街の衰退、コロナ禍と浅草が経験した危機、観光・芸能・職人技を柱とする街の成り立ち、40年以上続くサンバカーニバルまでを講義した。午後はまち歩きや茶道体験を行い、浅草花やしきを巡った。

 同連合会によると、同プログラムの浅草での受け入れは2022年1月にオンラインで始まった。コロナ禍のため、どぜう料理店や道場などをオンラインでつなぎながら、まち歩きを実施したという。以降、年2回ほどさまざまな地域からの受け入れを続け、中南米からは今回が2回目。受け入れは報酬を受けないボランティアで、浅草寺や花やしき、区などが協力している。

 西山さんは「今回は各国で重要な位置を占める行政官なので、間違いのないように、しかも日本を好きになってもらいたい。かといって飾り付けてもしょうがないので、浅草そのものを見てもらう」と話す。「まち歩きや茶道体験は受ける。防災の話は刺さっていた」と手応えを感じる一方、「行政や経済の状況について踏み込んだ質問が飛ぶので、こちらも緊張する。『ここは安全』と昨夜も歩いたという人もいて、違う国なのだと楽しんでいた」と振り返る。

 同連合会が窓口を担う理由について、西山さんは「浅草はインバウンドで成り立っている地域でもある。日本の入り口で日本を良く思ってもらう作業を商連が担いたい。それが、ひいては浅草や日本の役に立つ」と説明。「日本の外交は人と人とのつながり。今日来た人たちが今後、国を動かしていく。好きになってもらう一歩として非常にいい機会だった。国と国はそこから始まるので、何とか貢献したい」と話す。