浅草の酒販店で組織する浅草酒販連合会と浅草酒販協同組合による「第73回きき酒大会」が10月28日、台東区民会館(台東区花川戸2)で開かれた。
同大会は1953(昭和28)年ごろ、戦後の浅草の街を元気にしようと始まったとされ、浅草税務署管内の酒販店が年に一度集まる行事として続いてきた。清酒や焼酎を飲み比べて種類を当てる競技を通じて、商品知識の向上と適正な飲酒環境の整備を目的に掲げ、浅草税務協力団体連合会の「税を考える週間」の行事にも位置付ける。これまでは浅草神社境内で開いてきたが昨年は雨天で開催できなかったため、今回から天候に左右されない屋内の会場に移した。
出題は3部門。第1部は清酒の酒質当てで、吟醸酒・純米酒・本醸造酒・普通酒の4種類を飲み分ける。第2部は東北地方の清酒の銘柄当て、第3部は焼酎の原材料当てで、米・芋・麦・そばの4種類をそろえた。いずれも参考酒を用意し、参加者は参考酒と比べながら回答用紙に番号を書き込む。出題を担当した組合の役員は「香りや味など、いろいろな観点から精査して利き分けてほしい」と呼びかけた。
会場には協賛する酒類メーカーや問屋の試飲ブースも設け、参加者は利き酒を終えた後、日本酒、焼酎、ビール、ウイスキー、リキュールなど各社の商品を試飲しながら造り手の話を聞いた。同日は会場周辺で、20歳未満の飲酒防止を呼びかける街頭キャンペーンも展開した。
開会式で同組合の宮澤理事長は「物価や物流費の上昇、消費者の嗜好(しこう)の変化など、酒類業界を取り巻く環境は年々大きく変わっている。こういう時代だからこそ、一人一人が自分たちの役割を改めて考えていく必要がある」とあいさつ。これからの酒販業界に大切なこととして、「伝統を守ること」「時代の変化に対応すること」「業界の責任を果たすこと」の3点を挙げた。
同連合会の赤木会長は、同大会を「私たち浅草の酒屋にとって、一体感を感じられる大切な唯一のイベント」と位置付ける。「近年は高齢化と後継者不足で廃業が増えているが、角打ちを併設した魅力ある店を構える経営者も増え、地域を支える人材も育っている」と現状を語った。
小学生の頃、親に連れられて信用金庫の2階で開かれた大会に参加した記憶があるという同連合会の海田名誉会長は「継続は力なり。この大会が浅草酒販の行事として末永く続くよう支援をお願いしたい」と呼びかけた。
浅草税務署の北野署長は「訪日外国人が上半期だけで2000万人を超え、日本の食文化や伝統文化への注目が高まっている。多くの観光客が訪れる浅草は、日本の酒の魅力を広く発信する上で意義深い場所」と期待を寄せた。