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クラフトサケ「木花之醸造所」、駒形から浅草に移転 醸造スペース3倍に

木花之醸造所のスタッフと後ろに醸造スペース

木花之醸造所のスタッフと後ろに醸造スペース

 駒形でどぶろくを中心としたクラフトサケを醸造してきた「木花之醸造所(このはなのじょうぞうしょ)」(台東区浅草4)が浅草に移転し、9月18日、併設する飲食店「ALL (W)RIGHT ―sake placeー」と共にグランドオープンする。

木花之醸造所で販売されているハナグモリ

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 運営はALL WRIGHT(オールライト)。2019年11月に駒形で飲食店を開き、2020年6月に「その他の醸造酒」の製造免許を取得してどぶろくの醸造を始めた。麹室を備え、定番銘柄「ハナグモリ」のほか、果物やだしなどを使った酒を造る。醸造長を最長3年ほどで入れ替え、独立を目指す醸造家の修業の場とするスタイルを取る。移転は、入居していたビルからの立ち退きに伴うもの。

 共同代表の堀木慎太郎さんは葛飾区新小岩の出身。同事業を開始する際に「東東京でやりたかった」と、清澄白河なども探す中で駒形の物件に出合った。「伝統や歴史のある浅草と、昔から日本で飲まれてきたどぶろくは親和性があるのではと思った。海外のお客さまも意識していた」と振り返る。開業から間もなくコロナ禍に見舞われたが、「コロナ禍がなければできなかったことをやれた。酒を造るという意味では、6年間土地になじみながらやれた」と話す。

 移転先探しは難航した。前店舗と同程度の約130平方メートル、同程度の家賃という条件で探したが、地価の高騰もあり、物件はほとんど見つからなかったという。

 新店舗では醸造設備を大きく広げた。駒形の醸造スペースは畳10枚分ほどだったが、新店舗では約3倍とし、麹室は約4.5倍、冷蔵庫は畳1枚分から6畳分に拡張した。タンクは入れ替えておらず、生産量はほぼ変わらない。堀木さんは「前が小さすぎた」と話し、醸造所を主軸に据えて設計したという。

 駒形の店舗は半地下で、入り口のすぐ近くに醸造設備、奥に客席という配置だったため「すごく入りにくかった」。新店舗は外から中の様子が見える開放的な造りにし、「酒場感を強くしたかった」とコの字型のカウンター席を設けた。棚を閉めると入り口が見えなくなる個室も用意し、ガラス越しに店内を見渡せる。個室は商談などでの利用を想定する。店先の席は高さを何度も調整したといい、「みこしの時に、ここでお客さんたちがちょっと飲みながら、という画が見られると面白い」と期待を寄せる。

 今後は訪日客向けに、予約制で見学や勉強会、体験を組み合わせたツアーにも取り組みたいという。輸出はアジア圏が中心で、店舗には「1年前、3年前に来た」という海外からのお客さまが再訪することもあるという。

 堀木さんは「クラフトサケという言葉にとらわれてはいけない」と話し、清酒と同じ土俵で競うのではなく、どぶろくを一つのジャンルとして確立したいと考える。「どぶろくは搾る前の日本酒。世の中にいいどぶろくはいくらでもあるはず」とし、「もっとおいしいどぶろくが日常に出ていけば」と力を込める。副原料を使える免許を生かし、炭酸で割るとレモンサワーになる「素」などの商品開発にも取り組む。

 料理については「うちの酒は全部ベースが米。米って何でも合う」と、ジャンルにとらわれずに提供する。どぶろくは揚げ物や、タイ料理、韓国料理などスパイシーな料理とも合うという。プレオープン期間中のメニューは、「くんせいMIXナッツ」「梅水晶」「いかの塩辛」「かつおの酒盗」など、すぐに出せるつまみ(以上400円)、「肉刺し盛り合わせ」(800円)、「骨付きとりもものジューシーからあげ」(1本800円)、「しみしみ大根のからあげ」(600円)、「“銀王”鮭の西京粕漬け」(800円)、「豚足」(700円)、「ソースチャーハン」(900円)など。ドリンクは「ハナグモリ」(1杯500円)、自家醸造酒を使った「ドブロククラフトサワー」「ドブロクモヒート」(以上700円)、3種の飲み比べセット(1,200円)などをそろえる。

 ボトルも販売する。「ハナグモリ」(2,170円)、上野エリアで採れた蜂蜜を使った「ミードブロク」、「ストロベリーショコラ」「パッションフルーツ」(以上2,500円)、「出汁パンチ」「ジャスミン」、ホップにハイビスカスとレモングラスを加えた「HAZY SAKE」(以上2,400円)などを並べる。

 堀木さんは作業療法士でもあり、現在も保育園で乳幼児の発達に関わる。車いすで行ける場所を増やしたいという思いから飲食の世界に入り、日本橋小伝馬町での飲食店経営やクラフトビール業界を経て木花之醸造所を立ち上げた。今回の新店舗を「飲食の集大成」と位置付ける。

 3年後の目標は「飲食店として、まずちゃんと人気店になること」。駒形の店舗は三社祭の町会エリアに入っておらず、隅田川花火大会でも立ち入り禁止区域だったといい、「浅草の大きいイベントごとに全く関われていなかった」。新店舗では「三社祭では一緒にみこしを担いで、しっかりやりたい。町会のお酒を造れているような存在になりたい」と意気込む。

 営業時間は=17時〜22時30分(土曜・日曜は15時〜22時)。月曜定休。