コーヒーと抹茶の店「SABO TOKYO(サボトウキョウ)」(台東区浅草橋1)がJR浅草橋駅近くにオープンして、11月8日で3カ月がたつ。
経営は、コーヒー生豆の輸入と日本茶の輸出を軸に、焙煎(ばいせん)から店での提供までを自社で手がけるSABO(富山県南砺市)。2021年に設立し、2023年3月に同市井波でコーヒー店「haiz coffee(ヘイズコーヒー)」を正式にオープンした。岐阜県高山市の店に続く3店目で、東京では初の出店となる。
同社にとって初の旗艦店で、4階建てのビルを1棟借り、自社ブランドを体験してもらう発信拠点と位置付ける。1階では、コロンビア産の豆を使うヘイズコーヒーのコーヒーと、抹茶ブランド「SABO MATCHA(サボマッチャ)」の抹茶を提供し、豆や抹茶も販売する。社長の北川結輝(ゆいき)さんは「抹茶は700年、800年続いてきた文化を知るきっかけになる。スペシャルティコーヒーはここ10年で大きく進化していて、今はこんな感じなんだと体験してもらえる」と説明する。2階には茶箱が並ぶ客席を設け、今後さらに手を入れる。3階は商談や品質確認の場に、4階はイベントやワークショップの場にする。
埼玉県出身の北川さんは留学を経験し、海外をぼんやりと意識していた。「コーヒーは世界で飲まれていて、世界に市場がある。それがコーヒーを選んだ大きな要因の一つ」と振り返る。富山県に移住して創業し、「誰よりも産地を訪れる」という姿勢を掲げて、当初からコロンビアに通い、生産設備への出資や高値での買い付けを重ねてきた。「産地に足を運び続けることが、自分たちのアイデンティティになる」と北川さん。イベントへの出店や店への訪問を地道に続け、オンラインの卸サイトに登録する取引先は約700社まで増えた。
抹茶に取り組むきっかけは、コーヒーでの経験だった。「どれだけ産地に投資しても、外国人が外国で活動しているという域を出ない。日本で作れるもので、世界に出ていけて、同じように生産に関われるものを考えたら、お茶だった」と振り返る。中国茶が好きだった友人を責任者に迎え、昨年11月に本格的に始めた。
東京に拠点を構えたのは、海外へ共に出ていく仲間を迎えるため。「今の中心的な目標は海外に出ていくこと」と話す北川さん。新たに採用する人には英語を話せることを求めているが、人口約6000人の井波で探すのは難しかった。店を開いた効果は大きく、「一度お店を見に来られるし、富山までは来られないが気になっていたという人にもすぐ会える。大変そうだけど、みんな楽しそうというリアルな働き方がお客さんから見えると思う」と手応えを感じている。客からスタッフになった人も既にいる。
浅草橋を選んだのは、学生時代にこの辺りでアルバイトをした縁があり、街を思い描けたことに加えて、空港へのアクセスがいいという理由から。「羽田も成田も一本で50分ほど。出張の多い僕が来やすいということは、外国人も来やすい」と明かす。浅草、秋葉原、銀座など、海外で知られたエリアが近いことも利点に挙げる。物件は1階の角地で、開放感を出せることが決め手となり即決した。
近くに住む人が犬の散歩の途中で立ち寄ることも増えた。「富山でも、一番近いコーヒー店だったからと来た人が、面白いコーヒーの世界に入ってくれた。そういうことがうれしい」と北川さん。「お客さんとの関係を育てていけるのは、働くスタッフにとっても大事。地元の人の割合が増えるとうれしい」と喜びを口にする。
今後は、店の数を増やすよりも卸を通じて世界へ広げていく。「まずは3年で全世界に卸すことを達成したい。流通させる商品の質を上げることに終わりはない」と北川さんは先を見据える。
営業時間は8時~18時。