カフェ「角裏(かどうら)」(台東区浅草4)がオープンして、9月13日で3カ月がたった。
店名は、浅草寺の裏手の「観音裏」と呼ばれるエリアの角に位置することにちなむ。店主は、ジンギスカン店「メリーさんのひつじ」(浅草2)や浅草地下街のバー「どん底」なども手がける佐々木啓さん。佐々木さんが購入したコーヒーの焙煎(ばいせん)機を置ける場所を探していたことが出店のきっかけとなった。
店にはオランダ製の「Giesen(ギーセン)」の大型焙煎機を設置。煙を屋外に排出する仕組みで、営業中に焙煎することもある。奥の客席は壁に大谷石を使い、ビンテージの「ALTEC(アルテック)」のスピーカーを左右に配置した。両側から均等に音が届くカウンター席が「一番いい席」だという。
テーブルやスタッフの作業台には表面加工を施さない一枚板を採用し、使い込むうちに変わっていく風合いも楽しむ。店長の上野伶奈(れな)さんは「内装もグラスも一つ一つにこだわりがあり、一流のものをそろえている」と話す。
豆はスペシャルティコーヒーのグレード以上に限り、産地は絞らずにサンプルを取り寄せてテイスティングして選ぶ。コーヒーの約9割が水であることから、浄水設備や氷にもこだわる。「普通はなかなか気付かないところだが、焙煎してその水でテイスティングすると、やはり違う」と上野さん。
推しはシングルオリジンのコーヒー。現在はケニアやエチオピア、ゲイシャ種のグアテマラなど6種をそろえ、店内ではホット700円~1,000円、アイス800円~1,100円で提供する。レジ横には、豆の香りをかいで選べるコーナーを設けた。豆は100グラムから販売し、購入すると同じコーヒーを200円引きで飲める。フードは「コーヒーを引き立てるかどうか」を基準に、香りを控えめにしたメニュー6種を用意。自家製ハムを使った「カドウラサンド」(1,000円)や、北海道産小豆のあんを使った「あんバタートースト」(600円)など。
テイクアウトは価格を抑え、素早く提供できるメニューに絞った。深いりと中いりの日替わりブレンドは店内の600円に対して500円、カフェラテ(ホット)は店内より100円安い600円で販売する。7時~10時30分には、コーヒーとパン、ポーチドエッグ、サラダを組み合わせた「モーニングコンボ」(1,050円)も用意する。「この雰囲気だからこそ伝えられるおいしさと、テイクアウトで伝えられるおいしさは違う。テイクアウトは気軽に楽しんでもらえるように設計している」と上野さん。
客層は、毎日訪れる近所の高齢者や夫婦のほか、朝は連泊中の外国人観光客も多いという。上野さんは「浅草に住む客とのフレンドリーさに驚いた」と言い、「一度会ったら友達になれるような人が多い」と話す。
客同士の交流が生まれる仕掛けとして、店内にけん玉を置いて「けん玉チャレンジ」を行うほか、手回しの蓄音機でレコードをかける日も設ける。蓄音機は客が回すこともあり、「壊さないように最初にレクチャーすると、それがまた会話になる。教わった人が次の人に教えるような流れも生まれる」という。
3カ月がたち、店の運営にも余裕が出てきた。今後は季節ごとのブレンドや、店名を冠した「角裏ブレンド」の開発を視野に入れる。上野さんは「ブレンドで店の色は作れると思う。もっとコーヒーと向き合い、角裏のコーヒーの世界を作っていきたい」と意気込む。
営業時間は、7時~11時、12時~16時。水曜・木曜定休。