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大正の浅草で生まれた「浅草オペラ」 東洋館で「カルメン」「椿姫」上演

演目の歌劇「椿姫」の稽古中の様子

演目の歌劇「椿姫」の稽古中の様子

 大正時代の浅草で一世を風靡(ふうび)した大衆音楽劇「浅草オペラ」を現代によみがえらせるロングラン公演「歌と活弁士で誘う『ああ 夢の街 浅草!』」が10月1日、浅草フランス座演芸場東洋館(台東区浅草1)で始まる。

浅草オペラ総合プロデュースの松井康司さん

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 浅草オペラは、大正期に浅草六区の劇場で上演された音楽劇の総称。欧米のオペラやオペレッタを日本語の歌詞に置き換え、流行歌や踊りも織り交ぜて、庶民が肩肘張らずに楽しめる舞台に仕立て直したのが特徴で、日本の芸能文化の原点の一つともいわれる。丸の内の帝国劇場で本格的なオペラ上演を目指した歌劇部が解散した後、その出身者らが活動の場を浅草へ移し、1917(大正6)年ごろからブームが広がった。

 歌劇俳優の人気番付が作られるほどの熱狂を生んだが、1923(大正12)年の関東大震災で劇場や衣装、楽譜などが失われ、数年で姿を消した。

 同公演は、浅草オペラ誕生から100年に当たる2017年に始まった。無声映画の語り手である活弁士・麻生八咫(やた)さんの語りで舞台を進行させる独自のスタイルで、当時の資料を基に再構成したプログラムを上演する。浅草を拠点に大阪、福島、横浜、秋田、盛岡などでも公演を重ね、浅草での開催は今回で5回目となる。主催・制作は浅草オペラ実行委員会、演出は田野邦彦さん、音楽監督はピアニストの山田武彦さん。

 総合プロデュースを手がける松井康司さんは「4回ぐらいになると、どうしてもマンネリ化する部分も出てくる。大幅にリニューアルしようと思った」と話す。今回は改めてオーディションを行い、出演者の3分の2ほどを新メンバーに入れ替えた。20代の若手を多く起用し、本公演がデビューとなる出演者もいるという。アレンジも大幅に変更しており、「以前見たことがある人にも、また違った感じと思っていただけるはず。前に見たからもういいや、とはならないでもらいたい」と呼びかける。

 メイン演目は、2017年に初演した「カルメン」と2019年に初演した「椿姫」の2本で、日替わりで上演する。松井さんは「カルメンと椿姫は、大正時代から浅草オペラで上演してきた演目。オペラファンなら必ず見るメジャーな作品を、浅草オペラ風に大幅に脚色している」と説明し、「オリジナルを見たことがある人からすると『こんなに違うのか、これアリなの?』というところもあると思うが、それはオリジナルがメジャーだからこそ感じてもらえるところ」と話す。このほか各回共通で「カチューシャの唄」「ゴンドラの唄」など大正・昭和期のヒット曲も披露する。各回とも歌手7人と、ピアノ、バイオリン、クラリネット、アコーディオンの楽隊4人が出演する。

 出演者の百合道子さんは「100年前には、西洋音楽を初めて庶民に聞かせるぞというパワーがすごくあったと思う。それを私たちが受け継ぎ、今の時代に合わせて届けている。クラシックはちょっと堅い、聞いたことがないという人にとって、入り口としての意味がすごく大きい」と魅力を語る。高田萌さんは友人に勧めるなら「食べながら、ガサガサして見られるよ」と伝えるといい、客席で飲食しながら気軽に楽しめる点を挙げる。盛り上がった場面では客席から「おひねり」が飛ぶこともあり、高田萌さんは「花紙を用意しておいて、本当に盛り上がるとポンポン飛ぶ」と話す。

 演出家によって決まり事が多い現場もあるというクラシックの世界に比べ、浅草オペラは自由度の高い舞台だといい、鈴木綾乃さんは「すごく自由にやらせてもらえて、今まで培ってきたものに挑戦させてもらえる場所。それでもうまくやれない瞬間もある」と話す。植木稚花さんは「浅草という場所なので、どんなことをしても受け止めてくださる。だから安心してできる」と続ける。

 出演者は公演日ごとのチームで稽古を重ねており、神保さんは「チームワークができていくのも魅力。チームによって全然違う」と話す。出演者のセルフプロデュースが色濃く出る演目もあり、客席の雰囲気も日によって変わるため「当日になってみないと分からない」という。来場者について〇〇さんは「若い方からお年寄り、子どもさんまで、みんなに来ていただけたら」と話す。

 松井さんは「浅草でやっていながら、浅草の方々の開拓が難しい部分もある」と明かし、「浅草で生まれたものが実は全国に広がっていて、みんなが知っているものが浅草からスタートだったというものはたくさんある。浅草で生まれたカルチャーを、改めて浅草の方々に感じていただけるとうれしい」と地元からの来場を呼びかける。

 開演時間は18時30分。「カルメン」は1日・3日・5日・9日・11日、「椿姫」は2日・4日・6日・8日・10日に上演する。入場料は4,000円(全席自由)。未就学児は入場不可。7日は休演。同11日まで。