西浅草の角打ち「シノノメ酒店」(台東区西浅草2)の向かいにスナック「おりーぶ」(同)がオープンして、9月5日で半年がたつ。経営はダイニングバー「ほしや」(雷門2)などを展開するフーテン(同)。
同社は2021年6月設立。代表はまちづくりに関心を持つ佐藤シュンスケさんで、2016(平成28)年に仲間と開いた「ほしや」を皮切りに、カラオケスナック「よたか」、スタンディングぬか漬けバー「ギフ」、ナチュラルワインビストロ「Dochaku」、昨年オープンした「シノノメ酒店」と2階のコワーキングスペース「シノノメ荘」を手がけてきた。「おりーぶ」は同グループ6店舗目に当たる。
店を切り盛りするのは佐藤さんの母・幸恵さん(75)。宮城県出身の幸恵さんは、27歳だった1978(昭和53)年ごろ、千葉県市川市の本八幡でスナック「オリーブ」を開業し、今年でスナック歴48年を数える。店名は当時テレビでリバイバル放送されていたアニメ「ポパイ」に登場するオリーブにちなむ。一時は近隣駅で日本料理店など5店舗ほどを経営したが、バブル期などを経て本八幡の1店舗に絞り、現在も同店に立ち続けている。
浅草出店のきっかけは、佐藤さんの「呼び寄せ」だった。本八幡で一人暮らしをしながら店を続ける母について、「ノーゲストの日には誰とも話さない日もある。いずれは浅草でやってもらえたら、自分も顔を出せる」と考え、2年ほど前から浅草で路面の小規模物件を探していたという。昨年末、シノノメ酒店の向かいにあったスナックが閉店すると聞き、内見を経て出店を決め、3月5日にオープンした。
幸恵さんは現在、月曜~水曜は本八幡の「Olive(オリーブ)」、木曜~日曜は浅草の「おりーぶ」に立つ「2拠点生活」で両店を行き来する。お通しは幸恵さんの手作りで、フードは乾き物が中心。「食事を済ませてから来るお客さまが多いので」と話す。
料金体系は、初めての客やボトルキープのない客向けに「90分飲み放題」(3,000円)を用意するほか、ボトルキープ客向けのセット料金も設定。カラオケは歌い放題で、料金は店頭に明示している。幸恵さんは「スナックは分かりにくいと思われがち。書いてあった方がお客さまも安心して扉を開けられる」と話す。
17時開店のスナックが近隣に少ないことから、「やっていますか」と若い世代からの問い合わせや来店もあるという。幸恵さんは「まだ、どういうお客さまでまとまっていくのか全然分からない。まずは来ていただいて、飲んでもらうのが精いっぱい」としながら、「落ち着いたサラリーマンの方に来ていただけたら」と理想の客層を思い描く。
常連客に対しても物おじせず「説教」をするのが幸恵さんの流儀。佐藤さんは「怒られに来るというより、お酒の飲み方を知られる場所。高齢でこういう物言いをする人は多くない。街の飲んべえたちの『寺子屋』のような立ち位置になれたら面白い」と期待する。
幸恵さんは本八幡の「オリーブ」を「キリよく50年」の節目まで続けたい考えで、その後は浅草の「おりーぶ」に一本化する計画。佐藤さんは「85歳くらいまで、10年は続けてもらえたら。ゆくゆくは母はお客さまと話すだけで、スタッフが動くような店にしていきたい」と展望を描く。
営業時間は17時~23時。月曜~水曜定休。