ニットカフェ「CAFE BAR & KNIT ito-mori(イトモリ)」(台東区松が谷1)がオープンして、8月7日で1カ月たった。
同店は7月7日に開店し、空調設備が整った翌8日、本格的に営業を始めた。電気工事会社の倉庫兼駐車場だった建物の1階を改装した店舗は公園に面し、席数は9席。補助席を含め最大15人ほどが利用できる。しっくいの壁と天井は店主の森田礼子さんが講習で塗り方を学び、自ら塗り上げた。
森田さんは金沢市生まれ、福井市育ち。大学進学を機に上京し、編集プロダクションを経て出版社で長く編集者として働いた。編み物は小学5年ごろ、学校の編み物クラブでかぎ針編みから始めた。母や祖母も編み物をしていたという。仕事に疲れを感じていた時期に「きちんと習いたい」と日本手芸普及協会の通信講座「棒針編み入門コース」を受講。その後は教室にも通い、現在は同協会の「指導員」資格を持つ。
開業の出発点は「編みながらお酒を飲める場所を開きたい」という思い。バーは店内が暗く編み物の手元が見えないことから、5年ほど前から自分で店を開くことを構想してきた。退職後に新しいことを始めるのは難しいと考え、「やるなら今」と会社を辞めて準備を進めたという。開店時間を16時にしたのもバー営業を意識したためだが、来店客は女性が中心で、現在はカフェとしての利用が多いという。
物件と出合ったのは昨年11月末。年明けに契約したものの工事の遅れなどが続き、着工は5月8日にずれ込んだ。電気容量の引き上げや水回りの工事などを経て、約半年がかりで開店にこぎ着けた。
森田さんによると、編み物はここ2~3年、韓国発でSNSを通じて若い女性を中心に人気が再燃しているという。一方で「一般のカフェでは編み物がしづらい」と感じる愛好者は多く、SNS上でも「気兼ねなく編めるカフェが欲しい」という声が見られるという。
開店を告知したスレッズの初投稿には約600人のフォロワーが付き、初日から「スレッズを見た」という編み物客が来店。以来、来店者ゼロの日はないという。客の多くは編みかけの作品を持ち込み、飲み物を片手に編み進める。隣り合った客同士が「何を編んでいるんですか」と自然に会話を始め、「編み友」になっていく光景も生まれている。森田さんは「編み物があれば、すぐに友達になれる」と話す。
店内でオーダーできるメニューは、カフェ・ラテ(750円)、アメリカーノ(600円)、ダージリン(ポット、950円)、抹茶ラテ(750円)といった飲み物から、ハートランドビール(950円)、ハイボール(900円)といったアルコールも提供。ジャンボかためプリン(600円)、牛すじのフェイジョアーダ(1,100円)といったスイーツ、フードも。
店内では現在、毛糸店「ケイトピア」によるポップアップを開催している。開店から2週間ほどたった頃にケイトピアから申し出があったといい、8月中旬には秋物への展示替えを予定するほか、ワークショップの開催も計画する。秋ごろには、編み物好きが集まる「編み会」イベントの定期開催も検討している。
森田さんは「地域に開かれたカフェにしていきたい」とし、「80歳になってもカウンターの隅で編み物をしながら、若い人が店を回す姿を見ていられたら」と将来像を思い描く。
営業時間は16時~22時。火曜定休。