茨城県オリジナル品種の梨「恵水(けいすい)」を販売する移動販売車「給梨車(きゅうなししゃ)」が8月26日・27日、浅草ROX(台東区浅草1)1階エントランス前に登場した。
茨城県が県産農産物のPRの一環として企画したもので、「給水車」をもじったネーミングが特徴。同県が展開する移動販売車の企画としては今回が初開催となる。会場では、冷やしたカット恵水を1カップ200円で、丸のままの恵水を1玉800円で、それぞれ販売するほか、梨を入れた大きな氷柱に直接触れて涼を取れる体験コーナーを設けた。
恵水は、茨城県農業総合センターが17年をかけて開発した県のオリジナル品種。「新雪」と「筑水」をかけ合わせ、約4300個体の中から選抜し、2011(平成23)年に品種登録された。県内での栽培開始は2013(平成25)年で、本格的な出荷は2016(平成28)年から。糖度は平均約13度と酸味が少なく、1玉600グラム程度の大玉で、シャリシャリとした食感と果汁の多さが特徴。冷蔵貯蔵で3カ月ほど保存できる点も持ち味だという。1玉1キロ以上・糖度14度以上という基準を満たしたものは「幻の恵水」と名付け、出荷1万玉に1玉ほどの割合で、1玉1万800円で県内の高級果実専門店などに並ぶ。
茨城県は梨の出荷量が全国2位(2024年産)の産地だが、他産地に比べて知名度が低いことが課題となってきた。県によると、恵水の導入面積は2025年産で48.7ヘクタールと、この10年で約7.4倍に拡大し、出荷量も155.2トンまで伸びたが、市場に出回る量はなお少ない。
同県営業戦略部販売戦略課副参事の土井敏明さんは「茨城にはいいものがたくさんあるが、その中でも差別化できる農産物を首都圏にPRしようという取り組みの一つが恵水」と話す。県では恵水のほか、メロン「イバラキング」、「常陸牛」、豚肉「常陸の輝き」、「笠間の栗」の5品目を軸に、季節に合わせたPRを展開している。「この夏は梨を推していこうと。特に今は残暑が厳しいので、水分補給にもちょうどいい」と話す。
会場に浅草を選んだ理由について、土井さんは「浅草は観光地でもあり、下町の生活にも密着している多様性のある街。これまでどちらかというと銀座方面に目が行っていたが、こういう場所でやった時にどういう反応があるのかを知りたかった」と説明。つくばエクスプレス沿線へのPRという狙いもあるという。
梨は品種ごとに旬が1カ月ほどしかなく、茨城県内では「幸水」から「恵水」、「豊水」へとリレー形式で出荷が続く。土井さんは「生産量だけを増やそうとするのではなく、20世紀や21世紀のように、品種でブランドを築いていきたい。量より質でいきたい」と力を込める。