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浅草生まれの店主の「割烹かずさ」、中延から雷門・父の店の跡地近くに移転

店前で店主の斉藤智哉さん

店前で店主の斉藤智哉さん

 「割烹(かっぽう)かずさ」(台東区雷門2)が品川区中延から浅草に移転オープンして、7月24日で1カ月がたった。

中延の時代から使う「あんどん」

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 同店は店主の斉藤智哉さんが一人で切り盛りするカウンター割烹。斉藤さんは湯島の関西割烹「いづ政」(文京区)で11年間研さんを重ね、2010(平成22)年に独立した。以来、約16年にわたり中延駅前通り商店街の並びで店を営み、6月24日に現在の場所へ移転オープンした。店名は、妻・和子さんの名前の「かず」に斉藤の「さ」を合わせて名付けたという。

 斉藤さんは浅草生まれ。父親は浅草の隅田川にほど近い場所で季節料理店「濱一」を営んでいたが、斉藤さんが小学生の頃に閉店した。斉藤さんはその悔しさから「必ずここに戻ってくる」と心に決めていたという。

 高校卒業後は一度料理の道を諦め、別の仕事に就いたが、思いを断ち切れず退職。伊豆で父親の料理仕事を手伝った後、結婚を機に上京し、上野の居酒屋に勤務した。その後、妻の両親の紹介で「いづ政」の味に出合い衝撃を覚え、同店で修業を積むことになったという。

 独立時、師匠から言われた「10年たったらのれんを出せ」という言葉を守り、開店から10年間はのれんを掲げずに営業。10年たってからのれんを出した直後、コロナ禍に見舞われた。その後、中延の店が入る建物の事情で退去の可能性が生じ、移転先を探していたところ、知人を通じて浅草の物件の話が舞い込んだ。場所を聞く前から「ここに違いない」と直感していたという。実際の住所は父親のかつての店のすぐそばだった。

 料理はアラカルトを設けず、1万2,000円のおまかせコース一本。中延時代は、修業元の味を受け継いだ「茄子(なす)の油煮」「揚げ里芋」などの一品料理や、カマスやアマダイなどの焼き魚にだしをかけて味わう名物「一夜干し」を提供してきた。斉藤さんは、「季節ごとに食材が変わる四季折々の楽しみをコースの中でつくっていきたい」と話す。

 コースの時間は1時間半~2時間ほど。斉藤さんは「自分の時間をゆっくり使ってもらい、料理を楽しんでもらえたら。お客さまに満足していただくのが一番」と話す。

 新店舗の内装は、古典的な和風ではなくモダンな雰囲気を意識した。入り口の壁の一面は土の温かみを表現するため、あえてひび割れを施した壁は、宮大工の経験を持つ職人が手がけたもの。別の面は磨きを加えた別の意匠を施す。店のあんどんは中延時代から使うものを使用した。

 10年後の店の姿について、「何も変わらないと思う。常に自分がやりたいことを追い求めているので、自分と共に店も進化していくのでは」と斉藤さん。将来的には池波正太郎の小説になぞらえて、妻と共に店に立ちたいという思いも明かす。

 営業時間は16時30分~21時30分。

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