イタリア料理店「il Noce(イル ノーチェ)」(台東区松が谷2)が松が谷にオープンして、8月13日で3カ月がたつ。
かっぱ橋道具街近くの通り沿いに5月13日にオープンした同店は、荒木康朗さん・くるみさんの夫婦2人で切り盛りする、カウンター6席、テーブル10席の16席の店。ランチはパスタを中心としたコース、夜は定番のアラカルトとイタリアワインを提供する。
店名はイタリア語で「くるみの木」の意味。社長を務めるくるみさんの名前にちなんだ。店内のテーブルやカウンター、フローリングにもクルミ材が使われているが、シェフの康朗さんによると、店名を決めた後に内装業者が選んだ木材が偶然、クルミ材だったという。
2人はホテルオークラのフランス料理部門で出会った。康朗さんの父も料理人で、調理師学校を経ずにホテルに入り、フレンチでキャリアを始めた。くるみさんは実家が和食店を営む。その後、2人で浅草のイタリア料理店に約4年勤務。昨年退職し、3週間かけてイタリアを北から南まで巡った後、物件を探す中で現在の物件に行き着いた。
店づくりのコンセプトは「台東区にまつわるもの」。皿は蔵前の店のオリジナル、コーヒーカップは上野の店のものを使うなど、区内の「ものづくり」にこだわった。康朗さんは「同業のお客さまも多い。これを買いたいと思って探しても見付からないものを狙っている」と話す。
空間へのこだわりも強い。ロゴを手がけたアーティストの絵や、廃材を生かしたランプなど作家ものの作品を店内に配し、内装のカラーはロゴの色に合わせた。康朗さんは「素材も大事かもしれないが、空間からどう没入するか、どういう空間で食事をするかが一番大事」と話す。
料理は定番メニューを軸に、旬の食材をスポットで加える。看板は千葉県富里市から仕入れる房総豚のポークチョップ、店の向かいにあるのり店ののりを使ったリゾット、手打ちのショートパスタ、4時間かけて焼き上げる豚の香草焼き「ポルケッタ」などもそろえる。野菜はくるみさんの実家(埼玉県鴻巣市)の畑で採れたものも使う。
ワインは、グラスではイタリアワインのみを提供し、ボトルでは勝沼醸造(山梨県勝沼町)の日本ワインも用意する。康朗さんは「せっかくイタリア料理店に来たなら、イタリアのワインを飲んでもらった方がいい。コンセプトがぶれないことを大事にしている」と話す。
開店当初は「もっと暇だと思っていた」とくるみさん。広告をほとんど打っていなかったが、プレオープンに招いた近隣店主らがSNSで発信したことで当初から席が埋まり、犬の散歩仲間の口コミなどでも広がった。現在は近隣のリピーターが中心で、ロゴを手がけたアーティストのファンや同業者など遠方からの来店もあるという。
康朗さんは「この店に行こうと選んでくれたお客さまに来てほしい。10年後も地域の方に来ていただき、最初に来てくれたお客さまが変わらず来てくれていたらうれしい」と話す。
営業時間は、12時~14時30分、18時~22時。木曜定休。